AIペンギンミステリー(2) 第1話②

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《はじまりの日》(ヒント編)

🐧「大ざっぱな大沢」

長いはずの3時間は問題と格闘しているうちにあっという間に過ぎた。リュウは自分が回答したタブレットの画面を見てため息をついた。数学や理科の欄は半分も埋まっていない。

(まあ仕方ないか。問題が難しいってことは予想してたし)

 試験の終了時間になると、教室の前方にある巨大なスクリーンと解答用のタブレットに案内役の「ロボQ」の顔が現れた。

《試験終了のお時間デス。ミナサン、お疲れサマデシタ。昼休みの後は午後1時より面接試験が行われます。それまでに自分の席に戻ってきてクダサイ》

 ロボQが話し終わると、モニターはプツンっと真っ暗になった。

(昼休みか。どっかで弁当を食べないと…。それにしても最後の問題は変だったよなぁ)

 リュウは両腕を天井に向けて突き上げた。伸びをすると背中が凝っているのが感じられる。

(なんで、謎解き問題なんか出たんだろう?)

「おーい、リュウ。弁当、食おうぜ」

 大柄な男がずんずん近づいて、机にどかっと荷物を置いた。幼馴染でクラスメートの大沢だ。

「なんでここがわかったんだよ。…ああ、受験番号か」

 リュウが「IT学園」を受験すると決めた後、どこからか話を聞きつけた大沢は「そんじゃ俺も受ける」と勝手に願書を送ったのだった。大沢はなにかとリュウと一緒に行動したがるのだが、リュウが大沢を誘うことはあまりない。それでも大沢は今も当たり前のように一緒に昼食をとろうとしていた。

「問題、難しかったよな~。さっぱりわかんなかった。しかも、俺の秘密兵器が使えないしよ」

 リュウは苦笑しながら、「あー、鉛筆ね」と言った。大沢は六角形の鉛筆の端に1から6までの数字を書き込んだ物を試験の時は必ず持参していた。6択までなら転がして対応できる。わからない問題が多すぎて、しょっちゅう転がしているものだから、この間の期末試験の最中には試験監督の先生に「うるさい」と何度も怒られていた。今回の試験はタブレット以外の物は机に置くことができなかったから、大沢の秘密兵器は出番がなかった。

「しょうがないから俺は念じたよ。選択肢のある問題は全部、インスピレーションに賭けた」

 それで受かればいいけどね…。

「試験の結果は運任せってことだな。それはそうと、最後の問題が気にならない? 謎解きが3問あったろ」

 そう聞かれた大沢は、バンバンとリュウの肩を叩いてうれしそうな顔をした。

「よくぞ、聞いてくれた。あの問題だけは、真剣に取り組んだぞ」

 真剣になるところが違うんじゃないか? と突っ込みを入れたかったが、リュウも人のことは言えない。

 リュウと大沢は謎解き問題をおさらいしてみることにした。

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【ヒント編】 

大沢「リュウは最初の問題、どう考えた? 並んだアルファベットが何かを表してるってことだよな?」

リュウ「間の『…』から考えて、たぶんこのアルファベットは繰り返されてるんだよな」

大沢「俺もそう思ったのよ。あとはどこで区切って考えるかってことだよな」

リュウ「お前にしちゃ、理論的に考えてるじゃないか。いつもは『だいたい合ってりゃいい』が口癖なのに」

大沢「3時間もあるのに解けそうな問題、あれだけだったんだ。だから、一生懸命考えた。そんで、あれは何かの頭文字を並べたんじゃないかって」

リュウ「うん。たぶん、その線で合ってると思うよ」

 大沢は満足そうにうなずいた。

大沢「そんじゃ次だ。2問目はイラストが描いてあったよな」

リュウ「うん。木と顔の絵だった」

大沢はニヤリと笑った。

大沢「(  )の中の顔が何を表してるかってことだよな。いや~、いろいろ考えたよ。なんで、王冠をかぶってるのかな。王様なのか? とか」

リュウ「でも、木+王様 じゃ、わけわかんないよな」

大沢「そうそう。つまり、王様じゃない人が王様になるってことだよな。じつは、矢印が重要だったっていう」

リュウ「すごいじゃないか。たぶん、それでいいんじゃないか?」

大沢はにんまり笑って、ドヤ顔を向けてくる。

大沢「こりゃ、全問正解かもな。3問目も自信あるんだ」

リュウ「漢字の『あるなし問題』だったよな」

大沢「水、王、九、大。上の段の4つには共通点がある。俺、わかっちゃったんだよ。ズバリ、この4つの漢字にある物を足すんだ!」

リュウ「お、おおっ」

大沢「つまり…」

 二人の会話はここでさえぎられた。

「午後の試験の準備をしますから、受験生の方は教室を出てくださーい」という係員の声が聞こえたからだ。

「お弁当はテラスか中庭で食べてくださいねー」

 リュウは自分の席から立ちあがった。

「腹へったしな。続きは弁当を食いながらにしようぜ」

 リュウは大沢の言葉にうなずいて、教室を後にした。

《 To be continued… 》

次回は、

(3)【〈解答編~前編〉「ツインテールの天才少女!?」クリックでジャンプできます

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🐧 今回はここまで。

ヒントを読む前に問題が解けている方もいるでしょうね。

でも、謎解き問題は3問だけではないかもしれませんよ…。

「解答編」は2回に分かれています。

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