日常の小謎(10)~背比べの歌の謎(前編)

その他いろいろ

羽織の紐のたけって…?

五月は「子どもの日」やら「端午の節句」やらがあるので、童謡や子どもの歌を聞く機会がなんとなくあります。

ショッピングセンターや催事場なんかで「せいくらべ」の歌もよく耳にします。

歌詞を覚えてますか?


はしらのきずはおととしの

ごがついつかのせいくらべ

ちまきたべたべにいさんが

はかってくれたせいのたけ

きのうくらべりゃなんのこと

やっとはおりのひものたけ


何気なく聞いていたけど、よくよく考えると意味がよくわかんないんですよね。

ちょっとひも解いていきましょう。

柱の疵(きず)は一昨年の

五月五日の背比べ

まず、ここまで。

一昨年の五月五日に、背の高さを測って柱に疵がついている。

今はピンとこない出来事ですが、「子どもの日」に背丈を測って柱に目印をつけるというのはよくあることでした。

兄弟姉妹で順番に背を測っては柱に書き込む。

それで、「すごく伸びた」だの

「弟に(背の高さを)抜かれた」だの

わーわー、やってたわけです。

だから「背丈を測る」ではなく「背比べ」なんじゃないでしょうか。

昭和の高度成長期以前は兄弟姉妹の数が多かったので、さぞかし賑やかだったでしょうね。

古き良き日本の家庭の情景ですねぇ。

では次の2行


粽(ちまき)食べ食べ、兄さんが

測ってくれた背(せい)の丈


五月五日の「端午の節句」には粽を食べる風習があるので、お兄さんが粽を食べながら背丈を測ってくれたんでしょう。(お行儀がいいとは言えませんが)


さて、問題は最後の2行です。

昨日、比べりゃ なんのこと

やっと羽織の紐の丈


「昨日、比べてみたら、なんてこった

(今の自分が着ている)羽織の紐の高さくらいしかないよ。

ちっちゃかったんだなぁ。僕。」

って、勝手に解釈してました。

でもね、2年でそんなに大きくなる?

と、ふと疑問が生じたわけです。

今の時代、一般的には着物の生活をしていないので、これまたピンときませんが、旅館に泊まったときに浴衣の上に着るヤツ、あれが羽織。

「ホテルにしか泊まったことないよ」という人は実際に着たことがないかもしれませんが、落語家さんや、お相撲さんを見れば「ああ、あれね」とわかるはず。

羽織の紐を結んでいるのは、お腹の上。

みぞおちあたりですかね。

とすれば、この男の子は「おととしから昨日」までの間に、「みぞおちから頭の先まで分」背が伸びた。

ということになります。

成長期でもそんな伸びるかなぁ?

軽い気持ちで書き始めたら、長くなっちゃたので(後編)に続きます。

◎「せいくらべ」

作詞:海野厚(うんの あつし)

作曲:中山晋平(なかやま しんぺい)



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