AIペンギンミステリー(18)  第6話①

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《 サクラサク!? 》 (問題編)

「合格発表の日」

大沢は《AI学園》から送られてきた追加問題の答えを返信した。

「でもよ、なんでわざわざ追加問題を送ってきたんだろうな? 試験が終わった後、ドリンクをもらうときにも問題が出たし」

 そう言って首を傾げている。

「お兄ちゃんはブースで待ってる間、ほかの問題も解いてたんだよね?」

 リホがお茶の用意をしながらそう尋ねた。

「ああ。昨日、見せただろ。クロスワードをやってた」

 お茶を注いでいたリホの手が止まった。

「じゃあやっぱりあの問題は…」

「どうしたリホちゃん。なんか気になるのか?」

「あ、ううん。なんでもないの。はい、お茶」

 柔らかな冬の陽が差し込む部屋で、三人はお茶の香りに包まれた。

「でもよ、まあいい経験だったよな。あの試験の難しさから考えると、受かるのはよっぽど頭のいいヤツだけだな」

 大沢は大袈裟にため息をついた。

「昨日の昼に会った天原とかいう女の子と、結城ってヤツは入学が決まってるって言ってたよな」

 リュウが言うと、大沢がうなずいた。

「ああ、二人とも天才だからな。凡人の俺たちは受験のこと、真剣に考えないとな。4月には高3なんだし」

 リュウは黙ってお茶をすすった。

「お兄ちゃんは受かってるよ。たぶんマサ君も」

 リホの言葉にリュウは首を振った。

「さすがに無理だと思うけど、リホちゃんの勘はよく当たるからな。合格発表は来週の土曜日10時だよな。それまで、いい夢見ようぜ」

桜と葉っぱライン


それから一週間後。合格発表の日。

リュウは朝からそわそわしていた。

(理数は空欄だらけだったし、プログラミングとかの特殊問題はさっぱりだったし、あれで受かるはずないよな。それに、もしも、もしも、なんかの間違いで受かったとしても、リホを一人にはできない)

 頭の中で同じことをグルグル考えていた。

ピンポーン、ピンポーン。ドンドンドンドンっ。

「また、大沢だな。なんであんなに…」

 リュウがドアを開けると…。

「リュウ! リュウ!」

 走ってきたのか、ゼイゼイ息を切らした大沢が立っていた。

「なんでそんな慌ててるんだ。目が血走ってるぞ」

「ご・・ご・・合格したっ」

「はあ? なに言ってるんだ。まだ発表されてないだろ」

 大沢は握りしめていた紙をリュウに渡した。

「大沢大様。補欠合格…。え、ええっ~?」


 リビングに通された大沢はリホから受け取ったコップの水を一気に飲み干した。

「ネットの合格発表の前に速達が届いたんだね。マサ君、よかったね。おめでとう」

「ありがとな~。やっぱ、リホちゃんの勘は最強だぜ!」

 リュウは、ぼーっと突っ立っている。


「お兄ちゃん、もうすぐ10時だよ。パソコンの準備しようよ」

 リュウが上の空なので、リホがテキパキとパソコンをオンにした。

10時ちょうど。


《AI学園》

〈入学資格取得者〉:受験番号

〈・・・・・〉

〈・・・・・〉

〈315Y0〉


ほかの番号は目に入らなかった。

自分の受験番号だけが目に飛び込んできた。


「合格…してる」

「わあぁっ」と、リホが手をたたく。

「おおーっ」と、大沢が拳を突き上げる。

 リュウは、ぼーっと突っ立っている。

桜と葉っぱライン

 

翌日の日曜日。

「入学説明会&1日体験入学」が行われるため、リュウは《AI学園》にいた。

 リホにものすごい剣幕で「行ってきて!」と押し切られたからだ。

(まさか合格するなんて。うれしいけど、リホ一人を家に残して寮に入るなんて無理だ。入学しないのに説明会にきても…)


 正直なところ、感情も考えも整理がついていない。ふわふわした気持ちのまま、リュウは受付で書類の入った封筒とスマートフォンを受け取った。どちらにも受験番号のシールが貼ってある。

「《AI学園》にいる間はこちらのスマートフォンを使ってください。ご自分の通信機器はこちらに預けてください」

 そう言われて、リュウは自分のスマホを受付係に渡した。


 大講堂に用意された席で待っていると、巨大なスクリーンに「ロボQ」が現れた。

「スマートフォンの電源を入れ、『?』のアプリをタップしてクダサイ」

 スマホを見ると、たしかに「?」のマークのアプリがあった。リュウは言われた通りにタップした。


【問題編】

ロボQ「では早速、問題デス」

リュウ「ええーっ、いきなり?」

ロボQ「問題1と問題2の制限時間はそれぞれ30秒デス。

なるべく早く答えを入力してクダサイ。

では、スタート」

ロボQ「ソコマデ! では次の問題デス。

問題3と問題4の制限時間はそれぞれ5分デス。

では、スタート」



《 To be continued… 》

次回は、

ヒント編「入学の条件」

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🐧 今回はここまで。

楽しんでいただけたでしょうか?

《AI学園》に合格して喜びたいのに、

妹が一人になることを考えると

入学できないとためらうリュウ。

はたして…?

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