AIペンギンミステリー(14)  第4話④

AIペンギン

《小さな落し物》 (解答編2)

🐧「選んだドリンクは?」

 ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

 玄関のチャイムがやかましく鳴る。

「この鳴らし方は…」

 ドアを開けると大沢が立っていた。

「俺、一緒に帰ろうと思って待ってたんだぜ。リュウの面接、遅かったよなー」

 大沢は、ほかほかの包みをリホに渡した。

「母ちゃんが焼き芋、持ってけって。お、いい匂いがする。リホちゃん、クッキー焼いたのか?」

 大沢はリュウたちが口を開く前にサッサと靴を脱いでいる。

「校門を出たとこに自動販売機があっただろ? そこでリュウを待ってたんだけど、アンドロイドに追い出されちゃってさ」

「今、その自動販売機の話をしてたんだ。大沢もドリンクをもらったんだろ?」

 リュウがそう言うと、大沢はニヤッと笑った。

「それだよ。それ。ちゃんとここに持ってきた」

 大沢が取り出したのは、紫と茶色が混ざったような毒々しい色のペットボトルだった。

「うわ、なんだこれ?」

 リュウは思わずのけぞった。

「そういうリュウはなにをもらったんだ?」

 リュウは鞄からドリンクを取り出した。

「しるこ? お兄ちゃん、ぜんざいの方が好きだよね」

「いや、リホちゃん、そういうことじゃないだろ」

「カードの謎を解いたら、これになったんだよ」

【解答編2】

 3人はリビングでコーヒーを飲みつつ、焼き芋をかじりつつ、クッキーを食べつつ、謎解きの話をする。


リホ「カードの謎はドリンクを選ぶためのヒントだったんだね」

リュウ「『ホット』の『星』の『中心』を選べってこと」

大沢「あのカードにそんな意味があったとは。俺がもらったのは『忠』のカードだけだったから、『南総里見八犬伝』かよ! って、突っ込み入れてた」

リュウ「なんで1枚なんだよ。『赤青計算』の解き方がわかったなら、ほかも解けただろ」

大沢「さっぱりわかんなかった。俺のラッキーナンバーを答えたら、最初の問題だけ当たった。でも、当たっただけすごいんだぞ。ほとんどのやつらは答えられなかった。制限時間があったからな」

リホ「1問正解だと、その毒みたいなドリンクなの?」

大沢「これは自分で選んだ。1本だけなにも書いてなかったからさ。面白そうだろ?」

リュウ「いや…」

大沢「答えられなかったやつは、その場で適当なドリンクを渡されて『混みあってますので、すみやかにお帰りくださーい』って追い出されてたぞ」

リュウ「オレは一人だったから、ゆっくり選ばせてもらったよ」

大沢「んで、『HOTの星の中心』がなんで『しるこ』なの?」

リホ「HOTは温かい飲み物ってことかな?」

リュウ「うん。『星』はペットボトルのラベルについてたマーク。その『中心』ってことなんだけど、販売機に小さい数字が書いてあったんだよ。その数字をたどると…」




大沢「星のマークのついたHOTのドリンクを数字の順番にたどると☆になったのか!」

リュウ「その中心にあったのがこの『しるこ』だったんだ」

大沢「リュウ、お前、天才じゃね? よくわかったな!」

リュウ「でも、しるこドリンクをもらってなんになる? 
《AI学園》にすごく興味は湧いたけど、受かりっこない」

大沢「まあなぁ。超ド級に難しい問題ばっかりだったしな」

リホ「まだわからないじゃない」

大沢「いや、リホちゃん。さすがの俺でも無理だってわかるぞ」

 リュウは小さくため息をついた。

《 To be continued… 》

次回は、

(15)【第5話】リュウの家族①(問題編)

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🐧 今回はここまで。

楽しんでいただけたでしょうか?

自動販売機の謎。正解にたどりつけましたか?

大沢君のドリンクは何味なんでしょう?

気にはなるけど、飲みたくはないですね。

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