《小さな落し物》 (解答編2)
🐧「選んだドリンクは?」
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
玄関のチャイムがやかましく鳴る。
「この鳴らし方は…」
ドアを開けると大沢が立っていた。
「俺、一緒に帰ろうと思って待ってたんだぜ。リュウの面接、遅かったよなー」
大沢は、ほかほかの包みをリホに渡した。
「母ちゃんが焼き芋、持ってけって。お、いい匂いがする。リホちゃん、クッキー焼いたのか?」
大沢はリュウたちが口を開く前にサッサと靴を脱いでいる。
「校門を出たとこに自動販売機があっただろ? そこでリュウを待ってたんだけど、アンドロイドに追い出されちゃってさ」
「今、その自動販売機の話をしてたんだ。大沢もドリンクをもらったんだろ?」
リュウがそう言うと、大沢はニヤッと笑った。
「それだよ。それ。ちゃんとここに持ってきた」
大沢が取り出したのは、紫と茶色が混ざったような毒々しい色のペットボトルだった。
「うわ、なんだこれ?」
リュウは思わずのけぞった。
「そういうリュウはなにをもらったんだ?」
リュウは鞄からドリンクを取り出した。
「しるこ? お兄ちゃん、ぜんざいの方が好きだよね」
「いや、リホちゃん、そういうことじゃないだろ」
「カードの謎を解いたら、これになったんだよ」
【解答編2】
3人はリビングでコーヒーを飲みつつ、焼き芋をかじりつつ、クッキーを食べつつ、謎解きの話をする。
リホ「カードの謎はドリンクを選ぶためのヒントだったんだね」
リュウ「『ホット』の『星』の『中心』を選べってこと」
大沢「あのカードにそんな意味があったとは。俺がもらったのは『忠』のカードだけだったから、『南総里見八犬伝』かよ! って、突っ込み入れてた」
リュウ「なんで1枚なんだよ。『赤青計算』の解き方がわかったなら、ほかも解けただろ」
大沢「さっぱりわかんなかった。俺のラッキーナンバーを答えたら、最初の問題だけ当たった。でも、当たっただけすごいんだぞ。ほとんどのやつらは答えられなかった。制限時間があったからな」
リホ「1問正解だと、その毒みたいなドリンクなの?」
大沢「これは自分で選んだ。1本だけなにも書いてなかったからさ。面白そうだろ?」
リュウ「いや…」
大沢「答えられなかったやつは、その場で適当なドリンクを渡されて『混みあってますので、すみやかにお帰りくださーい』って追い出されてたぞ」
リュウ「オレは一人だったから、ゆっくり選ばせてもらったよ」
大沢「んで、『HOTの星の中心』がなんで『しるこ』なの?」
リホ「HOTは温かい飲み物ってことかな?」
リュウ「うん。『星』はペットボトルのラベルについてたマーク。その『中心』ってことなんだけど、販売機に小さい数字が書いてあったんだよ。その数字をたどると…」
大沢「星のマークのついたHOTのドリンクを数字の順番にたどると☆になったのか!」
リュウ「その中心にあったのがこの『しるこ』だったんだ」
大沢「リュウ、お前、天才じゃね? よくわかったな!」
リュウ「でも、しるこドリンクをもらってなんになる?
《AI学園》にすごく興味は湧いたけど、受かりっこない」
大沢「まあなぁ。超ド級に難しい問題ばっかりだったしな」
リホ「まだわからないじゃない」
大沢「いや、リホちゃん。さすがの俺でも無理だってわかるぞ」
リュウは小さくため息をついた。
《 To be continued… 》
次回は、
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🐧 今回はここまで。
楽しんでいただけたでしょうか?
自動販売機の謎。正解にたどりつけましたか?
大沢君のドリンクは何味なんでしょう?
気にはなるけど、飲みたくはないですね。
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