AIペンギンミステリー(5)第2話①

AIペンギン

《おかしな面接》(問題編)

🐧「1+1=?」

 リュウが試験会場の自分のブースに戻ると、ちょうどアナウンスが流れた。

*午後1時から受験生の個人ブースで面接試験を行います。受験生は自分の席についてください*

(ここで面接? 別室に呼ばれるわけじゃないんだな)

 面接官のいる別の部屋に呼ばれて、複数の受験生と一緒に面接を受けるのかと思っていたリュウは少し驚いた。会場にいるほかの受験生たちもとまどっているのか、声には出さないものの空気がざわついている。受験生全員が同時に面接試験を受けるということなのだろうか?

午後1時になるとタブレットの画面が自動で点灯し、ロボQが現れた。

「それでは面接を始めまショウ。ブースを閉じますので注意してクダサイ」

 ロボQがそう言うと、ウィ~ンと透明な壁が伸びてブースは大きなカプセルのようになった。ちょっと閉じ込められた感がある。

「面接といっても私と二人で話をするだけデス。緊張しないでくだサイネ」

 いや、こんなわけわからん状況でリラックスできるかよ。と、リュウは思ったが、そんなことにはおかまいなしに面接はすでに始まっているらしい。まさかのロボットが面接官だった。

「まずは簡単に自己紹介してください。目安の時間は30秒デス」

 30秒が長いのか短いのかよくわからない。なにを話せばいいんだろう。気持ちはあせったが、ふいに朝の情景を思い出した。弁当を渡してくれた妹のリホの顔が頭に浮かび…。そうだ、作文だ。リュウはすぐに話し始めた。

「吉水リュウです。現在は高校2年生ですが、子どものころからAIに興味がありました。それでAI学園に入学して、ほかでは得ることができない貴重な体験ができたらいいなと思っています。以上です」

 話し終えたリュウはふっと息を吐いた。

「21秒デス。短いデスネ。少し、緊張していまスカ? では、次は問題を出しますから、できるだけたくさんの答えを出してクダサイ」

「複数の答えがある問題なんですか?」

「そういうことデス。では、問題デス。『1+1=?』。答えをドウゾ」

(どういうことだ? 1+1っていったら答えは2だろう?)

 リュウは頭の中が混乱したが、とりあえず普通に答えてみることにした。

リュウ「答えは『2』です」

ロボQ「ホカニハ?」

リュウ「えーと、田んぼの『田』」

ロボQ「それはどういう理由デスカ?」

リュウ「なぞなぞですね。1の縦棒の間に+を入れて、イコールの横棒ではさむと田んぼの田です」

ロボQ「なるほど。ホカニハ?」

リュウ「王様の『王』。1+1を回転させて、縦にしたら漢字になります。イコールを使わなくてもいいのならですけど」

ロボQ「ここでは正誤の判定はしまセン。どんどん答えを出してクダサイ」

リュウ「どんどんって言われても…。ドンドン…、1…1…ワンワン! そうだ、犬の鳴き声」

ロボQ「なかなかユニークデスネ。ホカニハ?」

リュウ「う~ん…。1+1=1です」

ロボQ「なぜデスカ」

リュウ「温度です。1℃の水と1℃の水を足しても温度は変わらないから」

ロボQ「なるほど。ホカニハ?」

リュウ「うう~ん…」

 リュウが考えている間、ロボQはずっと待っていた。

リュウ「今はこれ以上、思いつきません」

ロボQ「わかりまシタ」

 意外とあっさりロボQは問題を終了した。

ロボQ「では、次の質問デス。あなたが《IT学園》で一緒に学びたい人はイマスカ?」

リュウ「特にいません。あー、でも、しいていうなら大沢大という友人です」

ロボQ「オオサワ マサル……受験生の中にあなたと同じ高校の同名の人がイマスネ。彼のことデスカ?」

リュウ「そうです。今、通っている高校のクラスメートで幼馴染です。成績がいいわけじゃないけど、どういうわけか情報通で面白いやつです」

ロボQ「そうデスカ。同じ質問であなたの名前を挙げている人がイマス。アマハラ シラユキさんとは知り合いデスカ?」

リュウ「ついさっき知り合いました。トンビに弁当を盗られてました」

ロボQ「わかりマシタ。では次に…」

リュウ(人間だったら笑うとこなんだけどな…)

 その後、いくつかの質問が続いた。

ロボQ「では、面接を終了シマス。お疲れサマデシタ。ブースが開いたら帰っていいデスヨ」

 タブレットの画面が暗くなり、面接が終わった。

 …と思ったのだが、ブースはカプセル化したままで壁が動かない。

しばらく待っていると、画面に再びロボQが現れた。

ロボQ「スミマセン。機械のトラブルで少し時間がかかりそうデス。安全に問題はないので、このまましばらく待っていてクダサイ。その間、少しお話しでもしまショウカ。なにか面白い話はありマスカ?」

リュウ「う~ん。面白い話ですか。小噺とか川柳とか知らないしなぁ」

ロボQ「知らないなら作ってみてください」

リュウ「えー!? 」

 リュウは腕組みをして、しばらく考えた。

「…じゃあ『鼻がつまった雀の行進』をやります」

ロボQ「ほう。では、ドウゾ」

リュウは右手の人差し指を前に突き出した。

リュウ「スズメーっ!」

ロボQ「……」

リュウ「……」

ロボQ「時間つぶしに問題を出しますから、1問目から順番に解いてクダサイネ。それではノチホド」

タブレットからロボQの姿が消え、かわりに問題があらわれた。

リュウ「面白くなかったのかな…。なんとかひねり出したのに。まあいいや。気を取り直して問題を解こう」

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【問題編】

※クロスワードとカギは別の画像になっているので、印刷すると解きやすいと思います(A4横に収まるように作っています)


《 To be continued… 》

次回は、

(6)【〈ヒント編〉「クロスでくろうす」

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🐧 今回はここまで。

楽しんでいただけたでしょうか?

実際の面接でこんな質問をされたら、頭が真っ白になりそう。

クロスワードはじっくり解いてみてください。

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