AIペンギンミステリー(3) 第1話③

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《はじまりの日》 (解答編・前)

🐧「ツインテールの天才少女!?」

 リュウと大沢は中庭に出た。冬のさなかの1月ではあったが、風もなく日差しが暖かく感じられた。筆記試験が終わったのでちょっとほっとした気分だ。その時、二人の頭上を大きな影が横切った。

「キャアアアァー」

 穏やかな空間を若い女性の悲鳴が引き裂いた。

 茶色い大きな鳥が小柄なツインテールの少女に襲いかかり…。

「リホ?」

 思わずリュウが走り寄ると鳥はサッと空へと飛び立った。

「あたしのおひるーーー!」

 少女は近くの花壇から顔ほどもある石を片手でつかんだ。

「白雪さまのお弁当を奪ったことを後悔させてやるっ」

 そして、石を構えて空へ…。

「よせ!」

 リュウは少女の腕をつかんだ。

「なにすんのよっ」

 リュウに向けた少女の顔は目が吊り上がっている。大きな鳥はゆうゆうと空を飛び、どこかへ行ってしまった。

「あたしのサンドイッチどうしてくれるのよっ」

 大きな鳥はトンビだった。この少女のサンドイッチを足でつかんで飛んで行ったらしい。

「もしも取り返せたとして、鳥がつかんでぐちゃぐちゃになったサンドイッチをお前、食うのか?」

「え?」

 思いがけない返事だったのか、少女はちょっとたじろいだ。

「ちょっと待ってろ。おにぎりを分けてやる」

 リュウは弁当の包みを開けると、銀紙にくるまれたおにぎりを一つ少女に渡した。

「もうトンビにとられんなよ。じゃあな。行こう、大沢」

 リュウが歩き始めると、「お、おう」と大沢も続いた。

「な、なあ、リュウ」

「なんだよ」

「あの女の子」

「なんだよ」

「ついてくるんだけど」

「なんでだよ」

 リュウと大沢が中庭の端のテーブルとイスのセットに腰を落ち着けると、さきほどの少女がリュウの横にちょこんと座った。

「なんの用だ。これ以上、おにぎりはやれないぞ。リホが作ってくれた弁当だからな」

「リホ?」

 リュウの言葉に少女が首を傾げた。

「こいつの妹なんだよ。かわいくて賢くて最高なんだぞ」

 大沢が説明すると、少女はニコッと笑った。

「その妹にあたしが似てるのね」

「いや、ぜんっぜん!」

 リュウと大沢は同時に叫んだ。

「そういやリュウ、この子に駆け寄った時に『リホ』って言ったよな。ひとかけらも似てるとこないだろ」

「なんでだろうな。一瞬だけそう見えたんだ。髪型かな?」

「は? この子、ツインテールだろ。リホちゃんはショートだ」

「昔は二つに結んでたんだよ」

「それ、小学生の時だろ、第一…」

「おいしーい! このおにぎり」

 リュウと大沢の話はどうでもいいのか、少女はさっさとおにぎりにかぶりついていた。

「……。お前さ、ひょっとして天原白雪?」

 ふいに大沢がそう聞いた。

「そうよ。あたしがかの有名な天才美少女よ」

「やっぱそうか。さっき自分で『白雪様』とか言ってたしな。ツインテールで、天才だけど空気を読まない女っていう…」

「なんだよそれ」

「リュウ、お前、こいつのこと知らないのか?」

「トンビに昼飯をとられるような知り合いはいないな」

「ちょっと! あなたたち失礼よ」

「《IT学園》の入学試験を免除された天才高校生が二人いるんだよ。その一人が天原白雪。つまり、こいつだ」

「試験免除されたのに、なんでここにいるんだよ?」

「入学は決定してるんだけど、まあ、データ協力ってとこかしら。どんな問題が出るのか興味があったし」

「たしかに変な問題があったよな。なんで『謎解き問題』なんか出すんだろうなって大沢に言ったばっかりだ」

「ふ~ん。あの《おまけ》に目を留めたなんて…。ちゃんと解けたの?」

 白雪はリュウに聞いたのだが、鼻息を荒くしたのは大沢だった。

「あったりまえだ。真面目に解いたのはあそこだけだからな」

「え、あなたも問題を解いたの? ちょっと意外だわ」

「弁当を食べながら答え合わせをしようってリュウと話してたんだ」

「ふ~ん。なら、天才・白雪様がジャッジしてあげるわ。問題は思い出せる?」

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【 解答編~前編 】

白雪「おまけの1問目は、並んだアルファベットの最後の『?』を答える問題ね」

リュウ「一見、不規則に見えるけど、ひとかたまりの同じアルファベットが繰り返されてるんじゃないかって考えてみた」

大沢「そうそう。俺、ピンときたんだ。SSを最後にもってきてMから考えたら答えが分かった。MはMondayのM。つまり、このアルファベットは曜日を表してるんだ」

白雪「よくできました。TF=木・金に続く曜日は土曜日。つまり、答えはSaturdayの『S』になるわね」 

リュウ「2問目はイラストのひらめき問題だったよな」

大沢「『王冠をつけること』がポイントだ。木+戴冠だから答えは『きたいかん(期待感)だな』

白雪「いい感じじゃない。それじゃあ、3問目よ。漢字の法則を見つける問題ね」

大沢「全問正解いただきだな。俺は気づいたんだよ。上の漢字に『一画足すと別の漢字になる』んだ。問題の『白』に『一』を足すと『百』になる。だから、白は上に入るが答えだ」

白雪「フフン。ま、あなたならその程度ね」

大沢「なにが違うんだよ。リュウも同じだろ?」

リュウ「いや、それだとおかしくなるんだ。下の段に『小』があるだろ。『小』に一画足すと『少』になる。だから、大沢の言った法則は当てはまらないんだ」

大沢「なにーっ! ひっかけかよ?」

リュウ「上の段の法則は『一画足す』だけじゃなくて『、(てん)』を足すんだよ。『白』に『、』を足しても漢字にならないから答えは『下』の段になるんじゃないか?」

白雪「ご名答。あなた、中々やるじゃない」

大沢「うおー、全問正解のはずだったのに。でも、俺はこの試験の秘密の問題も解いたんだぞ!」

白雪「秘密の問題? …ちょっとまってその前に。こそこそしないで出てきたらどうなの。盗み聞きなんて趣味が悪いわよ」

 白雪はそう言い放ち、ビシリと人差し指を突き出した。

 木の陰からユラリと現れたのは…。

《 To be continued… 》

次回は、

(4)【〈解答編~後編〉「もう一人の天才?」クリックでジャンプできます

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🐧 今回はここまで。

長くなりすぎたので「解答編」を二つに分けることにしました。

後編では「秘密の問題(?)」の答えがわかります。

 あなたは「おまけの3問」以外の問題に気がついていたかな?

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